学校日記

社会科のつぶやき『昔の人にとって、伝染病とは?』

公開日
2020/04/15
更新日
2020/04/15

校内風景

感染症への対応や拡大防止に尽力してくださっている方々に心から感謝します。我々教員にできることはわずかですが、一人でも多くの方に感染症についての理解を深めてもらえたら幸いです。今日も感染症にまつわる歴史を紹介します。今日の本は『災害の歴史をしらべる』(小峰書店)です。
現代は、病気を引き起こす原因を明らかにし、さまざまな方法で治療を行うことができる世の中になりましたが、このような医学が広く普及したのは、江戸時代以降だと言われています。では、それ以前の日本では、感染症をどう考えていたのでしょうか。
昔の人々は、病気は人間を超越した力がもたらす災いと考えていました。俗にいう「悪霊」です。「悪霊」というのは、病気や不幸をもたらす怨霊を指し、世の中にうらみをもったまま死んでいった人などがそれにあたると考えられていました。生きているうちには果たせなかった仕打ちを、災いとしてもたらすと考えれば、きっと納得できたのでしょう。したがって、それらの「悪霊」をしずめることができれば、その災いから逃れられるわけです。
日本には古くから伝わる「祭り」がたくさんありますが、「悪霊を追い払う」ことを目的に行われたものもあったようです。有名なものの一つに、京都の「祇園祭」があります。現在では日本三大祭りの一つとされ、盛大に行われる「祇園祭」ですが、「病気」という、人間の力ではどうすることもできなかったものをしずめるために神様に頼ったのは、当然のことと推測されますね。
今でも、日本には固有の祭りや行事があります。それらの多くは、人々の不安を和らげ、幸せを願う人々の思いから始まったものばかりです。病気の流行や大災害が起きた時に、人々が不安になるのは今も昔も変わりません。大切なのは、その時、どう行動するかです。
歴史は暗記科目だとよく言われますが、歴史は、そのまま人生の生きる知恵になります。ピンチにどう向き合ったのか、それがもたらした結果は何か。同じ結果を望むなら、その通りに行動すればいい。しかし、過去と同じ結果を避けたいならば、どう行動すべきか。今直面しているピンチとの向き合い方を歴史は教えてくれます。
私たちが今こうして生きていられるのは、私たちの祖先がピンチを何度も乗り越えてきたからです。だから、私たちもきっとこのピンチを乗り越えられるはず。そう信じて、今できることを始めていきましょう。
次回は、感染症の研究に関する歴史を紹介していきます。