NHK・Eテレ ETV特集から
- 公開日
- 2011/08/15
- 更新日
- 2011/08/15
ニュース
昨日(14日)の午後10時から、NHK・Eテレ(2チャンネル)のETV特集で、『アメリカ発・福島原発事故の深層(「真相」ではありません)』という番組が放送されていました。
小学生には少々難しい内容でしたが、恐らく中学生ぐらいなら、ほとんどの内容を理解できたのではないでしょうか。
福島第1原子力発電所には、1号機から6号機まで、計6機の原子炉があります。その内の1〜5号機は、Mark1(マーク・ワン)と呼ばれている型式のもので、アメリカのGE(ゼネラル・エレクトリック社)が開発した原子炉です。
1号機は全てGE社が担当し、2号機はGEと東芝、3〜5号機は、その技術提供を受け、東芝や日立が担当しました。
当時のGEの技術担当者などが証言を行っていましたが、マーク・ワンに関して、様々な問題点が指摘されていました。
・格納容器が非常に小さいこと(小さいと建設費用が安価になるが、小さい分、水素や水蒸気を蓄えるスペースが狭くなり、爆発の危険性が高まる。)
・非常用電源装置が同じ位置に取り付けられていたこと(後から1つ追加設置をした際に、本来は「建家」など、別の場所に設置すべき所、同じ地下に取り付けたため、「非常」時の役割を果たせなかった。)
※ 因みにアメリカでは、「洪水」などを想定し、非常用電源装置が防水壁などで守られているとのこと。
・小さな格納容器という弱点をカバーする意味で『ベント(格納容器の爆発を防ぐための空気抜き)』を取り付けたが、結局そこから放射能(放射性物質)が外へ放出されたこと(「お金がかかる」「目立つ」という理由で、ベントにフィルターが取り付けられていなかった。)
マーク・ワン構造上の不備やの万が一の際の爆発の危険性については、1980年代から指摘されていたということで、この種の情報が揃ってくるに従って、「人災」の面もクローズアップされてきます。
マグニチュード9.0の地震は想定外、13メートルを超える高さの津波も想定外。
番組の解説者は、「『確率が低い→起きない→準備しない』という発想に問題があった」と指摘していました。
また、日本では「自国のもの作りに対する信頼性が高い」が、「信頼性が高い≠安全性が高い」とはならないという話題も出ていました。
福島第1原発の事故が発生する前、TVのCMでは、原子力発電の「安全性」や「安価なこと」「クリーンであること」などが宣伝されていました。
学校へも、教職員に対し、「原子力発電所の見学を勧める」案内が届いていました。
原子力発電による電力供給という恩恵を受けていたことも事実ですので、今回の事故を受けて、全ての原子力発電を悪者にはできないかも知れませんが、少なくとも、昨夜の番組では、「起きるべきして起きた事故」という印象を強く受けました。
万が一を想定していたら、全電源喪失は起きなかったはずです。また、水素爆発も防げたかも知れません。そして、ベントからの放射性物質の放出を少なく抑えられたに違いありません。
正しく、多くの事を考えさせられた番組でした。