カウンセラーの窓(光陵だより11月号より)
- 公開日
- 2011/11/07
- 更新日
- 2011/11/07
サポートセンター・カウンセラー
現代社会を生きる私たちにとって,パソコン・携帯電話などの電子機器と全く無縁な生活を送れる人は多くはないでしょう。パソコン・ゲーム機などの提供するバーチャルな世界の魅力として,そこでは誰もが主人公になれ,その世界をコントロールしているかのような気分に浸れるということがあります。また自分の思い通りにならない状況になってもリセットすることができます。この魅力は裏返せば,はまってしまうとなかなか抜け出せない怖さにもつながります。子どもがネットにはまってしまって抜け出せないというのはよく聞かれる話です。子どもはまだ自分の欲望をコントロールする力が弱いのでそういうことが起こりやすいのです。
そういう場合に親はどういう態度をとればよいのか,ケースバイケースで絶対唯一の方法があるわけではありませんが,特に思春期の子どもにおいて気をつけておくとよいことをあげてみましょう。ありがちなのは親が全く禁止してしまうか,親側が時間を極端に制限するというやり方です。これは一時的な効果がある場合もありますが,逆に反発して親のいうことに全く耳を貸さなくなってしまうという危険性が高いように思われます。
ではどうすればよいのでしょうか?まずは親としてゲームなどに熱中することで勉強などがおろそかになるのを心配していることを伝え,取りあえず子どものできるという範囲で制限時間を決めさせます(最初はあまり極端でなく少しでも減らせればという気持ちで)。ただし子どもが自分で決めたことを守れなかったり,成績が落ちたりした場合のペナルティについてもちゃんと話し合った方がよいでしょう。
これは自分で決めたことに責任を持つということを経験する経験と同時に,そういう責任をとれる一人前の人間として認めるという意味合いもあります。思春期の子どもにとって認められることは嬉しいことですが,それには責任が伴うということを学ぶ機会になるのではないでしょうか。(スクールカウンセラー 永田美恵子)