あいさつにまつわる話2
- 公開日
- 2016/05/20
- 更新日
- 2016/05/20
お知らせ
1階渡り廊下に、挨拶(あいさつ)の語源と言われる禅宗のことばが掲示してあります。何気なく前を通っている人たちが多いと思いますが、紹介します。
「玉は火をもって試み、金は石をもって試み、剣は毛をもって試み、水は杖をもって試む。衲僧門下に至っては、一言一句、一機一境、一出一入、一挨一拶、深浅を見んことを要し、向背を見んことを要す。」
意味は、玉は火であぶって、金は石で削って本物かにせ物かを確かめるように、修行僧はその言動や出処進退(役職をやめる・やめない)でその本質を見極めねばならないということです。
「問答(もんどう)」ということばを聞いたことがあると思いますが、禅宗では、修行者が仏法についての疑問を問い、師家(修行を指導する僧)がこれに答える修行があります。これが問答です。問答を交わして相手の悟りの深い・浅いを見きわめることを「一挨一拶」と言ったのです。
また、以前にも紹介しましたが、「一挨一拶」の挨は「迫る」「押す」「開く」、拶は「迫る」「切り込む」ということで、「迫り斬り込むような問いで、相手の力量や、本物か偽物かを見極める」という意味です。つまり挨拶というのは、人と人の間に積極的に切り込んでいく「行動」のひとつであり、問答の中から生まれたもともとは「真剣勝負」の「問い」とそれに対する「答え」です。心をこめてしっかり挨拶し、相手の様子をよく思いやることが大事なのです。
今は、コミュニケーションの基本となっている「挨拶」ですが、もともとは、こんな意味があるのですね。でも本来の意味を考えることは、本来のあるべき形を考えることになるのではないでしょうか。
少し難しかったかもしれませんが、あいさつは自分から進んで、真剣にしなければいけないものだと言うことはわかったと思います。