学校日記

夢の技術 iPS細胞

公開日
2012/10/06
更新日
2012/10/06

一般連絡

 今日の新聞紙上で大きく取り上げられた、iPS細胞を開発した京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授のお話を偶然にも本日聞く機会を得ました。

 山中教授は、大阪生まれ大阪育ちの方です。中学生のときの先生の言葉、「勉強だけしているような人間になるな。」に触発され、勉強、部活動、生徒会活動に力を注いだ学生生活を送ったそうです。部活動は、中学生から柔道、大学の途中からラグビー部に所属し、10回に及ぶ骨折を経験して、整形外科に通ううちに怪我を治す医者に憧れ、医学の道を志しました。やがて希望通りの整形外科医になりましたが、大きな挫折をしてその道を断念することになったそうです。指導してくれる大学病院の教授の指示に緊張してしまってどうしても指示通りの手術ができなかったことがその訳でした。

 次に志したのは臨床医ではなく基礎研究の道でした。その道は、10年後、20年後に医学に使えるかどうかというような研究を自由にすることができました。重度のリュウマチ患者や脊髄損傷、ALSの患者に出会い、どうしても直したいという強い思いからiPS細胞を開発しました。この細胞を使い、再生医療や新薬の開発が近い将来実現するとのことでした。今その研究を続けているそうです。ただ、国からの研究費は十分ではないそうです。

 現在、月に数日はカリフォルニア大学で、他の日は京都大学で学生に指導をしているそうですが、両国の学生には明らかな違いがあるとのことでした。アメリカの学生は、アイデアに富み、それを分かりやすく伝える力を兼ね備えていますが、それを元に単調な実験を続ける粘り強さがない。日本の学生は、新しい発想がなかなかできないが、指示されたことは、粘り強く続けることができるというものでした。新しいものを開発するには、両者の良いところが必要とのことでした。山中教授は、前者で、そのアイデアをもとに根気強く実験を続けてくれたスタッフがいたからiPS細胞を開発できたと感謝の言葉を口にしていました。

 山中教授のお話を聞いて、自分の考えを深めて分かりやすく説明する力は南中生にもぜひ育成したいと思うと同時に、iPS細胞が医療に使える日が早く来ることを願いました。