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肯定表現と否定表現

公開日
2011/08/05
更新日
2011/08/05

ニュース

 ある自閉症児にまつわる話です。

 トイレを使った後、水を何度でも流してしまう子がいた様です。

 「何度も水を流してはいけません(水を何度も流しては駄目です)」と注意すると、「分かった」と返事をします。

 でも、その行為は一向に止みません。

 ところが、「水 1回流す」と書いた紙を見せると、それからはきちんと守れるようになったとのこと…。

 ご存知の皆さんも多いと思いますが、自閉症の人(子)は「禁止言葉(否定表現)」が苦手です。

 「〜してはいけません(〜しては駄目です)」と言われると、パニックを起こすケースもあります。

 英語の表現で考えてみます。

 あるドアを使用禁止にする際、Use another door.と書いた張り紙をします(Don't use this door.とは書きません)。

 火災時のエレベーター使用を禁止する表現は、In case of fire, use stairs.となり、Don't use elevators in case of fire.とは言いません。

 室内禁煙の張り紙に、No smoking in this room.と書くと喫煙者はカチンときますが(?)、Smoking only in designated places.と書かれていると、素直に受け止めてもらえる(?)かも知れません。

 ビジネスで「お客様に失礼の無い様に」と伝えたい時、Don't act rude.とは言わず、Be respectful.と用います。

 また、相手の失礼な言葉を牽制したい場合、Don't be rude to me.等と言うと本当の喧嘩になってしまうので、Show me more respect.と柔らかく表現します。

 この様に例を挙げると、英語の表現・英語の発想は、自閉症の人たちに対応する時の良いヒントになりそうです。

 もちろん、自閉症の人に限らず、「〜するな(〜しては駄目)」と言われると、いい気分はしません。

 他人とコミュニケーションを図る時には、できるだけ「否定表現」を避け、「肯定表現」を用いた方が、良さそうです!!