学校日記

6年生・国語「カレーライス」

公開日
2013/05/13
更新日
2013/05/13

校長室から

 新美南吉の「てぶくろを かいに」をはじめ、「白いぼうし」、「最後の授業」、「石うすの歌」、「ちいちゃんのかげおくり」、「サーカスのライオン」、「どろんこまつり」、「宇宙人のしゅくだい」、「赤い実はじけた」・・・
 これまでの教師生活の中で、国語の教科書には、子どもたちがいろいろな反応を見せてくれた、私自身が忘れられない物語がいくつかあります。
 現在、6年生が学習している国語の教科書に「カレーライス」(作:重松 清)というお話があります。ライフスタイルの変化による「家族関係の現実」をリアルに描写した内容で、「こんなお話が教科書に載るようになったんだ・・」ととても興味深い教材なんです。

 思春期に入りかけた主人公の「ぼく」。思春期は、子どもの世界からおとなの世界へと足をふみだしていく時期です。少しずつ大人としての条件を部分的に所有していく時期で、男子も女子も肉体的な変化が見られはじめます。急に身長が伸びて、家の中を歩くと、母親と同じくらいに成長して圧迫感をおぼえたり、親からみて生意気に思われる言動をするなど、大人びた子どもの姿に驚かされたりすることがあります。また、親が子供だましの態度をとると、しっぺがえしの反論でやりこめられることもありますね。
 自我意識が発達し親に依存しつつも、ちょっぴり背伸びして、親に頼らない自立した行動をとりたがる高学年の子どもたち。この時期になると、子どもとして対応するのではなく、一人の大人として付き合うことも必要なようです。

 主人公の「ぼく」は、テレビゲームの遊び方というささいなことから父親と衝突します。
 低学年の頃はすぐに仲直りができたのに、いつのまにか「ごめんなさい」を切り出すタイミングをつかめない、自分の感情をコントロールできない自分にいらだちを感じるぼくの姿があります。
 父親(大人)への不満と愛情が入り交じった複雑な心境のぼく。その一方で、息子が思春期にさしかかったことにも気づかず、低学年の頃と同じように「甘口」のカレーを調理する父親。
 膠着状態で出口の見えない親子の対立がしばらくつづく・・というストーリーです。

 この物語をよんでどのようなことを感じたのか、お子様と話し合ってみるのもおもしろいかもしれません。