みんなで跳んだ
- 公開日
- 2010/09/25
- 更新日
- 2010/09/25
はたとうの風
さわやかな秋の空が広がっています。運動会や体育祭を行っている学校もあるようです。本校が予定している10月2日(土)も今日のようなお天気に恵まれることを願いたいと思います。
さて、中学校や高校の体育祭の人気種目の一つに「大縄跳び」があります。クラス全員で跳び、跳んだ回数を競い合うこの「大縄跳び」を見るたびに思い出す話があります。実話です。※写真は22日に開催された幡山中学校体育祭での大縄跳び
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「大縄跳びで、あべちゃんをはずすのはイヤなんです」
ある中学校の運動会の前日、クラスの一人が先生に言ってきました。
クラスには、身体的な理由でどうしても跳べない生徒が一人だけいました。(あべちゃんと言います。)最初は、一人で練習した彼。跳べませんでした。友達に特訓をうけましたが、それでも跳べませんでした。
先生は悩んだ末に、あべちゃんに声かけ役(応援係)をやってもらうことにしました。
2年1組は、運動会を二日後に控えた予行練習の時に6分間で123回跳び、優勝間違い無しと思われましたが、先生の心の中には、「本当にこれでよいのか」「一緒に跳ぶことが平等なのか」「彼をはずしてあげることが、思いやりなのか」という疑問が引っかかっていました。
そんな時、運動会の前日になって、先生のもとに女子生徒がやってきて言った意見が、…
「大縄跳びで、あべちゃんをはずすのはイヤなんです。」
明日が運動会という時、放課後、みんなで話し合うことになりました。
「なぜ、今さらそんなことを言うのか」という意見もあがりました。素直な気持ちでぶつけ合った意見。
「勝てなくなるから、入れない方がいい」…13人
「チームワークが大切だから、一緒にやろう」…12人
さらに、「後半だけ入ってもらおう」という意見が出されました。先生は、この案を採用しようとしました。けれども…。なんと、半分以上の生徒がこの案に反対したのです。
「全部出ないのより、つらい。」
その時、あべちゃんを特訓した生徒がこう言いました。「あべちゃんは、どう思っているのかな。僕はあべちゃんの気持ちが聞きたい。」
「跳びたくないの?って聞いたら、あべちゃんは跳びたいって。だから入れたい。」
パチパチと小さな拍手。さらに、別な生徒も立ちます。
「勝ち負けなんて…」
拍手はクラス中に広がり、さらに大きく確かなものになりました。
「一緒に跳ぼう、あべちゃんと跳ぼう」と誰もが口ぐちに言っていました。
「本音を聞かせてくれ。みんな、本当にそれでいいのか」
先生は涙声でたずねました。
すると、クラス全員の手がまっすぐ挙がりました。
先生は、一回でも跳べたらみんなで喜べるような試合にしようなと生徒たちに言いました。
そして、運動会。最初は失敗してしまいましたが、次の瞬間、男子生徒に抱えられたあべちゃんがついに跳び、一回成功しました。さらに奇跡が起きます。次には7回連続して跳べたのです。前半が終了すると、全員があべちゃんのもとに駆け寄りました。
そして、後半戦。ここでも信じられないことが起きました。なんと、あべちゃんが一人で跳び始めたのです。練習では、一度も跳べなかったあべちゃんが、みんなと一緒に跳んでいたのです。
結果は2年生5クラスの中、ビリ。それでも、彼は友達と手を取り合って、そして、一人で…なんと71回も跳べました。彼は、その後、作文にこう書いています。
「跳びはねるほどうれしいです。今日のぼくは、絶好調でした。」
本番中、心配で心配で、みんなの足元ばかり見ていた先生が、後から、生徒たちが書いた作文を見て、一つだけ知ったことがあります。
それは、
『みんな跳びながら、泣いていました』
※学級が一体となり、泣きながら笑い、笑いながら泣いて跳んでいる生徒たちの光景が目に浮かびます。他の人の成功を、自分のことのように喜べる素晴らしい仲間たちです。
喜びを共にできるしあわせをみんなで味わう、ここに「学級」の意義があります。