考え、判断する力
- 公開日
- 2013/05/11
- 更新日
- 2013/05/11
校長のこちょこちょ話
尾張教育研究会総会が5月10日(金)名古屋文理大学文化フォーラム(旧稲沢市民会館)で行われました。尾張教育研究会というのは、各教科及び領域(国語や社会などの教科及び道徳や特別支援教育などの教育領域)の研究部があり、小学校と中学校の教育の推進をはかり、研究を深めることを目的とした会です。
その中で、愛知県教育委員会の野村道朗教育長の講演がありました。演題は「教育あれこれ」で生きる力、情報化、特別支援教育、塾産業など多岐にわたるお話がありました。「なるほど」と感銘を受けたことを1つだけ紹介します。
学校では細かくていねいにいろいろなことを教えている。児童生徒はその指示に従ってそこそこできるようになる。しかし、それだけでいいのか。
県庁に就職して来る若い職員は優秀で与えられたことはそつなくこなしている。しかし、定型的、ルーチン的な仕事ばかりではない。対応できないときに「どうしましょう?」ときいてくる。「あなたはどうしたいの?」と尋ねても腹案がない。「じゃあ、こうしたらどう?」と提案すると「あーそれならいいですね」とか「えーそれはちょっと」という反応がない。与えられたことを間違いなく早くやればいいと考えているようである。学校で考え、判断できる人を育てたい。学校は、当然、基礎基本となる学力を身につけさせることは必要である。しかし、それだけではない。学校の役割は、適切な人間関係を築くことも必要である。他人とうまくコミュニケーションをとる訓練、他人と共に何かを成し遂げる訓練が必要である。適切な人間関係を築き上げることができると、考えや判断に広がりと深みが出てくるであろう。
4月にはクラス換えがあります。修学旅行や野外活動、校外学習でグループを決めます。掃除や給食当番でも班で協力します。教室の座席もコミュニケーションをとるための大切な要素です。コミュニケーションをとるためには当然、教師側の意図と配慮が必要です。しかし、果たして気の合う者どうしを合わせたり、気の合わない者どうしを離すといった単純なものだけでよいのでしょうか。よりよい考えや判断をするためには、人によっては、また、時によっては人間関係を築く幅を思い切って広げてやらなければなりません。勇気が必要です。