学校日記

入力よりも出力を

公開日
2012/12/14
更新日
2012/12/14

校長のこちょこちょ話

 東京大学・大学院薬学系研究科・准教授で脳科学者の池谷裕二(いけがやゆうじ)氏が興味深い実験を行いました。
 被験者を4つのグループに分け、各グループにそれぞれ違うやり方で40の全く新しい単語を学習させ、覚えたかどうかをテストしました。
 Aグループは、テストをして1つでも間違いがあれば、また40単語全部を学習し、40単語全部についてテストをします。
 Bグループは、間違いがあれば間違った単語だけ学習し、40単語全部ついてテストをします。
Cグループは、間違いがあれば40単語全部を学習し、間違った単語についてだけテストします。
 Dグループは、間違いがあれば間違った単語だけ学習し、間違った単語についてだけテストをします。
 それぞれ、全問正解にいたるまでの時間を比べてみたら、この4つのグループに大差はなかったそうです。つまり、Aグループのようにまじめ(?)に学習してもDグループのように効率的(?)にやっていても、結果は同じだったのです。
 ところが、それから数週間おいてもう一度テストをしたらAグループの正解率は81%、Dグループの正解率は36%と大差がつきました。うなずける結果です。ここで注目したいのは、BとCグループの結果です。Bグループは81%でAグループと同じ、Cグループは36%でDグループと同じだったのです。
 このことから、池谷氏は、脳は入力より出力で機能が違ってくると述べています。「学習」は脳への入力、「テスト」は脳からの出力です。脳を働かせるには入力よりの出力が大切であり、脳に埋め込んでも使わなければダメだということです。学習方法の参考になったでしょうか。